万象のいた森
 
息も上がりそうな勢いで歩いているうち、ユキは益々わからなくなっていた。

どうして黒糖飴なんだろ。


「えーと、黒糖飴くん。キミはそんなに黒糖飴が好きなの?」

男の子は目を大きく見開き、固くつないだ手を離した。

「黒糖飴じゃない」

ユキは男の子が手に持った袋を取り上げる。
どう見たって黒糖飴だ。

「それは黒糖飴だけど、ボクは黒糖飴じゃない」

「はぁ?」
「黒糖飴じゃなくて、ショウ」
 

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