戦乙女と100の物語
巨人の村
ちちち…
小鳥の鳴き声だ…
もう朝なのか…
学校、行かないと…
「ガアッ?」
『……!??』
大きな大きな瞳が、珍しい物でもみるかのように顔を覗き込んだ。
大きな口からは、ヨダレがたらりと垂れている。
ひぃっ!
あたしはヨダレに当たらないように、ベッドからそうっとぬける。
「ガアッ!」
巨人は突然大きな声をだした。
『し、しーっ。お願い、静かにしてて』
すると、巨人は首を傾げてフガーと鳴き、静かにした。
ー結構いい子だなぁ
『それにしても、ここはどこだろう?』
周りをぐるっと見渡した。
歩こうとすると、足がズキンと痛む。
『痛っ…。何かに撃たれて、そのまま気絶しちゃったんだ…』
傷口を見てみると
赤黒くなっていて、とても痛々しい。
でも、誰かが消毒してくれたのか
他の擦り傷などはきれいにされてあった。
ー誰が?
ーもしかして、あのハチ?
ううん…そんなはずない。
あたしと一心同体だったんだから、あの子のほうがもっと傷ついているハズ…
ハッとあることに気がつく
『ハールアは…?』