戦乙女と100の物語
その頃ー…
暗い洞窟に、二人の男の声が響いていた。
『頭、見てください!』
一人の山賊らしき男が叫ぶ。
洞窟の奥から、フードを被った、背の高い男が現れた。
『頭、やりましたぜ!
コイツは人間、しかもあっちの世界のやつです。きっと、さっき撃ったヤツにちげぇねぇです』
『…ならば、この女はあの選ばれし…?』
フードの男は、縄で縛られた女の前でしゃがんだ。
『顔を見せろ、女』
しかし、女はうつ向いたままで
じっと地面を見つめていた。
『フン…』
フードの男は、女の顎をグイッとあげて顔を見た。
『ほう…なかなか美しいではないか』
女の顔は、血の気は少し失せてはいるが、瞳は強く光っていた。
『その汚い手で、気安く触んないでちょうだい』
女は、ぺっと唾をはいた。
『コイツーっ!』
『よい』
フードの男はもう一人の男を手で制した。
『女、強気でいられるのも今だけだ…。カンクの撃った弾の毒で、もうフラフラのはずだ』
『ーっ』
女は言い返す言葉が思いつかなかった。
視界がぼやけるー…
『カンク、この女を見張っていろ。今日の獲物は上物だ…』
男は不敵な笑みを浮かべていた