戦乙女と100の物語
「族長さま、戦士さまをお連れしました」
あたしは巨人たちに挟まれて、いつもより小さく見えた。
なんだか落ち着かない
「おお、これは…」
カーテンで仕切られた奥から、族長らしき人がでてきた。
他の巨人とは、また違った威厳をもっている。
「ようこそおいでなされた。話はマリネから聞いている」
さっき世話をしてくれたお母さんが、あたしに笑いかけた。
「わたしは巨人族の長、カンバ。
そなたの名は何と申す?」
『あた…わたしは、ユウリと言います』
普通でよいと、カンバは笑った。
「さて、ユウリ殿。そなたはハールア嬢のパートナーだと聞いておるが…?」
ユウリは不思議に思った。
ーハールアとパートナーって、そんなに重要なことなのかな?
と、突然大きな瞳が、あたしの目を捉えた。
急いであたしは答えた。
『あっ、はい。今日出会ったばっかりなんで、まだ分からないことだらけなんですけど』
「今日?」
カンバは落ち着いた声で言ったが、とても驚いていた。
「ふむ…。ではユウリ殿、フラット石は当然、持っておられるのだろう?」
ユウリは少し困った。
『実は…まだ持っていないんです』