戦乙女と100の物語
『人拐い…?』
「そう。近くの村ではよく起こっているそうだ」
ハールアが人拐いにあったかもしれない…
できれば信じたくない話だった。
『…でも、ハールアは人じゃないでしょ?
なら大丈夫なんじゃ…』
ここで、カンバは息をはいた。
「それが普通のハニー族ならいいのだが、ハールア嬢は一国の姫だ。
それを知っているものはハチと言えど、拐ってしまうかもしれん…」
『そんなっ…』
あたしは落胆した。
ーあたしが気絶してばっかりだから、ハールアは拐われたかもしれないんだ
あたしがしっかりしてれば…
「戦士さま」
マリネが声をかけた。
「ハールア様はお気の強い方です。だから、何かあっても、きっと大丈夫ですよ。
さあ、戦士さまも元気をだして!」
マリネはガッツポーズをつくり、たくましい笑いを見せた。
『マリネさんっ…』
あたしは、その前向きな姿勢に感動し
マリネから元気をもらった。
『そうだよね…。ありがとう、マリネさん!
くよくよしてちゃ、ハールアに怒られちゃうっ』
その調子ですとマリネが励ます。
ーこの世界で生きていく為にも、前向きでいなくちゃ!
『ーカンバ、あたし、決めました』
『ハールアを探しに行きます』