戦乙女と100の物語
双子のうさぎ
『マリネさん、カンバ、それと巨人族のみなさん、色々とありがとうございました』
巨人たちが見守るなか、ユウリは深々とお辞儀をした。
「あらまぁ、そんな、いいですよ。ねぇカンバ?」
「こら、マリネ。皆の前では止めろと言っておるだろう」
カンバの黒い顔が
ほんのりとピンクに染まった。
なんと、マリネとカンバは夫婦だったのだ。
一見たくましそうなカンバは意外にもシャイで、族長としての仕事をしているときは、夫婦という素振りを見せないようにしていたらしい。
「それはそうと、すまぬなユウリ殿。
我らがいっしょに行ってしまうと、人間たちは恐がってしまうのだ」
『大丈夫です』
あたしは笑った。
『ハールアを見つけた時には、巨人はみんな優しい人たちだって伝えてもらうんだから』
マリネはまた泣きそうになりながら、最後にあたしと抱き合った。
巨人の力は強いけど
何故か苦しくはなかった。
巨人は最後まで温かかった。
「頑張って下さいね、戦士さま」
『…うん。また会おうねマリネさん』
あたしは後ろを向き
巨人の村を出ていった。