戦乙女と100の物語

タタ山の洞窟








『じゃあ行くぞ』



男は盆を持ってその場を立ち去ろうとした。



『まって』




男の足が止まる。




『どうした?まだなんかあるのか』



男は面倒臭そうに振り返った。





『…あんたさ








人間じゃないでしょ』






『……!!』





唐突な質問に男はたじろいだ。




女はニヤリと笑う。




『やっぱり、図星なんでしょ。
で、あんたの名前は?』




『俺…。俺は…』

ダンッ!!



とてつもなく大きな声が聞こえた。





『何だ?』




男と女はその声に耳を傾けた。








『カンク!この山には一般庶民どもを入れるなと言っただろう!』




『も、申し訳ございません頭っ。すぐに仕留めに参ります』




『そういう問題でもない!…でもまあよかろう。どうせ、娘二人にラピ族のうさぎが二匹だ…
大したこともない。必ず仕留めるのだぞ?よいな』




『はっ!』










『どうやら、侵入者がいるみたいだな…』




『……』



女は黙って何かを考えていた。




『おい、いきなり黙ってどうしたんだ…『シッ!』




奥の方からカツカツと足音がする。




女は声を潜めて言った。



『…誰かが来るわ。
もう一度聞くけど、あんた、名前は?』




『俺は…
ギルガード』




そう、と女は微笑んだ。



『ギルガード、少しだけ手を貸してほしいの。もし成功したら、褒美でも何でもあげるわ。だから、今から言うことをよく聞いて』




ギルガードは女の目をじっと見ると、コクンと頷いた。






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