戦乙女と100の物語
『誰!?』
ルーナはキッと構えて
辺りを見回した。
『上だよ、上』
ひょいと軽やかに現れたのは、綺麗な顔立ちをした男の子だった。
わぁ…
ルーナも思わず見とれてしまっている
『何?俺になんかついてる?』
すると、ルーナはハッと我にかえって再び相手を睨む。
『あんたは誰なの?』
リルとナルは、ルーナのマントの裾を握った。
『俺は…』
『「フラットオ」』
「まって!!」
フラットオンしようとしたルーナを、ハールアは止めた。
「ハールア駄目だよっ。この人怪しいよっ」
確かによく見ると、髪はバサバサで服も所々破れている。
しかしハールアは頭を振った。
「確かに怪しいけど、その人は大丈夫よ」
「「そうなの?」」
『いや、一言余計…ぐほっ』
ハールアは男の子のお腹をチョップした。
「あんたは黙っとく!
ーそれで、この人の名前はギルガードって言うのよ。仲良くしてあげてね」
『お前に言われる筋合いは…ぐへっ』
またまたハールアのチョップが炸裂した。
なんなんだろう
この二人…
仲がいいのか悪いのか分からない様子を見ていると、何だか笑けてきた。
『…ふふっ、いーよ。
仲良くしてあげる。よろしくね、ギルガード』
『ゆ、ユウリっ。そんな怪しいやつ…』
「でもルーナ、ギルガードはいじりがいがありそうだよ」
「ナルが仲良くしてあげるねーっ」
ガヤガヤとギルガードについてのあれこれが始まった。
『……!!!』
ギルガードは唖然としている
「あらあら、みんなに言われてるわよ?
ギルガード、モテモテじゃない。よかったわね」
ハールアは、ふふふっと笑うとユウリたちの輪へ入っていった。