戦乙女と100の物語
「いろいろって…」
ハールアがそれ以上何かを言うまえに
ギルガードは喋りだした。
『結局、これからどうすんだ?
行く宛とかあるのかよ』
ハールアは、あるわよと噛みつくように言った。
「パラシェット城に行って母様に会うの」
『お前の母親に?!』
「…何よ。なにか文句でもあるの?」
『いや…。別に』
ギルガードもあたしと同じ事を思っているのだろう。
ハールアを産んだお母さんなんだから、ハールア以上に凄いはずだ。
「そういえば、早く元の姿に戻ったらどう?」
ギルガードの元の姿ってどんなのなんだろう…
しかし
『嫌だね』
ギルガードはきっぱりと断った。
「なっ…。擬人化は体力を消耗しやすいのよ?
いくら魔力が強くても、一日が限界のはず…」
すると、ギルガードは袖を捲った。
『何これ…?』
その腕には、黒い蛇のような刺青が彫られている。
「それ…血の印じゃない」
『そうだ。この呪いがあるかぎり、俺はフラットオンすることも元の姿に戻ることもできない』
ハールアが怯えている…
“血の印”については何も知らないけれど、危ない何かだという気がした。
だからあたしも、それ以上聞くことはなかった。