戦乙女と100の物語

「いろいろって…」



ハールアがそれ以上何かを言うまえに
ギルガードは喋りだした。



『結局、これからどうすんだ?
行く宛とかあるのかよ』



ハールアは、あるわよと噛みつくように言った。




「パラシェット城に行って母様に会うの」




『お前の母親に?!』




「…何よ。なにか文句でもあるの?」




『いや…。別に』




ギルガードもあたしと同じ事を思っているのだろう。



ハールアを産んだお母さんなんだから、ハールア以上に凄いはずだ。






「そういえば、早く元の姿に戻ったらどう?」



ギルガードの元の姿ってどんなのなんだろう…



しかし



『嫌だね』



ギルガードはきっぱりと断った。




「なっ…。擬人化は体力を消耗しやすいのよ?
いくら魔力が強くても、一日が限界のはず…」



すると、ギルガードは袖を捲った。



『何これ…?』




その腕には、黒い蛇のような刺青が彫られている。




「それ…血の印じゃない」



『そうだ。この呪いがあるかぎり、俺はフラットオンすることも元の姿に戻ることもできない』




ハールアが怯えている…



“血の印”については何も知らないけれど、危ない何かだという気がした。



だからあたしも、それ以上聞くことはなかった。




< 54 / 69 >

この作品をシェア

pagetop