戦乙女と100の物語










ザッザッ…




一歩一歩進むたびに土ぼこりが舞う。




まわりには、もう人だかりができていた。



別れを惜しみ、涙を流す人もいれば、笑顔で旅を応援する人もいる。




三日間、お世話になりました




心の中でそう礼を言うと、あたしたちは外の門へむかって歩き出した。




ルーナたちにとっては、やはり村の人々と離れるのは寂しいのだろう。


時々、後ろを振り返りながら悲しそうな顔をしていた。




『ルーナ…』



後ろを向いていたルーナは、肩をビクリと震わせた。




『…ユウリ、どうしたの?』



あたしに背中を向けながらそう答えるルーナ。



その声は震えていた。




『えっと…無理してないかなって思って…』



『大丈夫。心配しないで。ユウリと行くって決めたのはあたしだよ?』




そう言って、ニコッと笑った。




『そだね…』




あたしも、ルーナのことを信じてあげないと。







門の前に立つと、あたしたちは足を止めた。




『みんな、これからもよろしくだねっ。
えーっと、次の目的地は…』



「パラシェット城よ」



『そ、そうっ。
ーそれじゃあ、パラシェット城へ向かって!』


『「向かって!」』







あたしたちは最初の一歩を踏み出した。






< 62 / 69 >

この作品をシェア

pagetop