戦乙女と100の物語
ギルガードの事情
キャンバラの村から旅立って少し経った頃、
あたしたちはあるものを見つけた。
「見て見て、みんなっ」
リルとナルが指差す方を見ると、そこには黒い何かがうずくまっていた。
「それ、何?」
好奇心旺盛なハールアは恐る恐るしながらも、目をキラキラさせてそれに近づく。
なんだろう…
ごみ袋?
いや、違う。
もしかして…
「ギャッ!!」
ハールアが短い悲鳴をあげた。
「ハールア、どうしたの!?」
リルとナルはルーナの肩から降りて、ぴょんぴょん跳ねていった。
あたしたちも二人に続く。
「これ、これ…!」
びくびく震えているハールアは、何だかハールアじゃないみたいだ。
『なになに?
…あっ。これ、人だ』
ひ、人!?
『ちょっとギルガード。この人、大丈夫か見てみてよ』
『何で俺なんだよ?』
『ギルガードは男の子でしょ』
「「そうだそうだーっ」」
仕方なく、ギルガードはその人の肩を叩いた。
うずくまっているせいで顔は見えない。
『おい、大丈夫か?』
返事はなかった。
ギルガードは、その人のむきでた腕の手首をさわった。
「死んで…ない?」
ハールアの問いかけに、ギルガードは指で丸をつくった。