戦乙女と100の物語
結局、あたしたちはそのまま進むことにした。
森のなかは、小鳥のさえずりも止み静かだった。
唯一聞こえる音は、土を踏む足音と、リルとナルの鼻歌だけだ。
二人の鼻歌は、上手いぐあいに高音と低音にわかれていて、ハーモニーが心地よかった。
その歌を聴きながら、上を向いて歩いていると
オレンジ色の光が木々の間から差していた。
『もう日が暮れちゃうね』
上を向いたまま、あたしは言った。
『今日は野宿するしかなさそうだね…』
ルーナは眩しそうに目を細める。
『でも、テントとか寝袋はあるのか?
森の夜は結構冷えるぞ』
『ローブならあるんだけど…。仕方ない、どこか宿を探すしかないね』
ええーっ、とリルとナルとあたしは叫んだ。
こんな森のなかにあるわけないよ!
キャンバラを出てからずっと歩きっぱなしだったので、もう足がくたくただ。
できれば少し休みたいとも思っている。
「ルーナ。これ以上探しても、森をぬけない限り見つからないよっ」
『でも寝袋なしで夜を過ごすのは…』
ルーナが選択に困っていると、ハールアが何かひらめいたように言った。
「いい考えがあるわ!」