天然100%
「美姫でいいよ?」
「え?」
松崎が珍しく驚いた顔をした。
あたしは思わず吹き出した。
「なに笑ってんだよ」
「べっつにー!」
「・・・じゃあ美姫って呼ぶから」
「うんっ」
あたしは笑顔でそうこたえた。
松崎の顔が赤くなるのが分かった。
「俺のことも・・・けぃ・・・」
「え?なに?聞こえない!」
「だから俺のことも啓介って・・・」
「どうしてほしいのー?」
あたしがニヤニヤしながら言うと
松崎は前髪をグシャグシャにした。
「もういい」
「嘘だって!・・・啓介!」
あたしがそう呼んでみたけど
啓介はスタスタと歩いていった。
「待ってってばー!」
「・・・・」
あたしの言葉を無視した啓介は
もういつもの啓介になってた。
「さっきの涙はなんだったのかな?」
あたしは聞こえるように呟いた。
「うるせー」
啓介は歩く速度を速めた。