天然100%


「美姫でいいよ?」

「え?」


松崎が珍しく驚いた顔をした。

あたしは思わず吹き出した。


「なに笑ってんだよ」

「べっつにー!」

「・・・じゃあ美姫って呼ぶから」

「うんっ」


あたしは笑顔でそうこたえた。

松崎の顔が赤くなるのが分かった。


「俺のことも・・・けぃ・・・」

「え?なに?聞こえない!」

「だから俺のことも啓介って・・・」

「どうしてほしいのー?」


あたしがニヤニヤしながら言うと
松崎は前髪をグシャグシャにした。


「もういい」

「嘘だって!・・・啓介!」


あたしがそう呼んでみたけど
啓介はスタスタと歩いていった。


「待ってってばー!」

「・・・・」


あたしの言葉を無視した啓介は
もういつもの啓介になってた。


「さっきの涙はなんだったのかな?」


あたしは聞こえるように呟いた。


「うるせー」


啓介は歩く速度を速めた。

< 102 / 124 >

この作品をシェア

pagetop