PURE
真夜中の歩道を歩く。
あたしは、この地方で最も恐れられている“薔薇組”の組長。
横には、あたしが最も信頼する副長の美香。
そして、後ろにはあたしの後輩たちが歩く。
みんな、色んな事情を持って薔薇組に入る。
そして毎晩のように喧嘩に手を染めていた。
その時までは―。
あたしの汚れた耳に、歌声が響いた。
曇りのない真っ青な空のような透き通る歌声。
目の前にはフードパーカを頭に深くかぶり、ギターを手にして歌う少女の姿があった。
よく聞き入ると、彼女の歌う歌の歌詞は、あたしの心を自然に癒していた。
「あの人、歌手のmomoっていう人なんだって。
2・3年前から、毎晩この場所で歌ってる。」
隣で美香がこっそりと教えてくれた。