PURE
振り返ってみると、そこには、ひとりの男子生徒が立っていた。
「ちょっと、いい?」
あたしは、訳も分からずコクンと頷き、友達に別れを告げた。
「俺、高3の山本っていうんだけど。
突然だけど、俺と付き合ってみない?」
本当に突然でびっくりしたけれど、曖昧な気持ちで相手を傷つけるのは嫌だから、あたしはきっぱりと断った。
「ごめんなさい!」
「そっか。
いきなりごめんな。」
山本という先輩はくるりと向きを変え、去ってしまった。
あたしは、何だかもやもやした気持ちだったが、気分を入れ替えて、帰路に着いた。
―いじめの始まりは、その翌日のことだった。