PURE
また一日が始まる。
大嫌いな梅雨の真っ只中のある日のことだった。
いつものように教室の隅の席に座り、読みたくもない本を読んでいた。
すると、いきなりドアがけたたましい音とともに開いた。
教室の中に入ってきたのは、長い髪を金色に染め、化粧をし、耳にはピアスだらけの女だった。
その女は教卓の上の座席表を見ると、ちらりとあたしを見た。
そして、おそらく自分の席であろう場所に座ると、携帯を取り出し、メールを打ち始めた。
「アイツ、遠野雅(とおのみやび)っていうんだって。去年から学校休みまくりのヤツってことで有名だよ。」
クラスメートのひそひそ話が聞こえた。
「裏ではヤンキーっていう噂もあるよ。
2年になってから学校来るの初めてじゃない?」