千里ヶ崎の魔女と配信される化け物
どうやら、僕の想像するケータイ小説で、間違っていないらしい。
僕と彼女のいるここは、館の書庫だ。天井まである高い本棚には、古めかしい本が詰まっている。僕は、ここに来て初めて、梯子のかかっている本棚を見たくらいだ。
つまり、千里ヶ崎さんはこの街きっての読書家でもある。――のだけど、彼女の性格から考えても、この館の蔵書から考えても、ケータイ小説というジャンルに着手したなんて、驚きだ。
「ちなみに、千里ヶ崎さん」
「なにかな」
「そのケータイ小説は、書籍化されたものを読んだんですか? それとも」
「ネット公開されているほうだ」
「千里ヶ崎さんがですかっ!?」
ケータイ小説のいろはとも言える、ケータイ自体を扱えない人が、どうやって!?
千里ヶ崎さんは、ソファーの上で寝返りを打った。上を向くと天窓がある。眩しいのか、彼女はひたいに手の甲を乗せ、目庇を作った。
「ふむ。香蘭に読んでもらったんだよ」
「読んでもらったって……音読させたんですか?」
「ああ。そうだよ。香蘭のヤツ、なかなか演技がかっていてね、聞いていたこちらも飽きなかったくらいだわ」
「そ、そうなんですか……」
僕と彼女のいるここは、館の書庫だ。天井まである高い本棚には、古めかしい本が詰まっている。僕は、ここに来て初めて、梯子のかかっている本棚を見たくらいだ。
つまり、千里ヶ崎さんはこの街きっての読書家でもある。――のだけど、彼女の性格から考えても、この館の蔵書から考えても、ケータイ小説というジャンルに着手したなんて、驚きだ。
「ちなみに、千里ヶ崎さん」
「なにかな」
「そのケータイ小説は、書籍化されたものを読んだんですか? それとも」
「ネット公開されているほうだ」
「千里ヶ崎さんがですかっ!?」
ケータイ小説のいろはとも言える、ケータイ自体を扱えない人が、どうやって!?
千里ヶ崎さんは、ソファーの上で寝返りを打った。上を向くと天窓がある。眩しいのか、彼女はひたいに手の甲を乗せ、目庇を作った。
「ふむ。香蘭に読んでもらったんだよ」
「読んでもらったって……音読させたんですか?」
「ああ。そうだよ。香蘭のヤツ、なかなか演技がかっていてね、聞いていたこちらも飽きなかったくらいだわ」
「そ、そうなんですか……」