千里ヶ崎の魔女と配信される化け物
それからは、一瞬だった。

あっという間に僕型の化け物は手帳へと消え、文字の乱舞も収まった。

千里ヶ崎さんの書斎に、静けさが蘇る。

ぱたんという音がして、閉じた手帳が落下した。すとんと、千里ヶ崎さんの手の上へ。

「……せ……千里ヶ崎、さん……?」

と呼びかけると、彼女は僕を睨んだ。

ソファーにくたりと横たわりながら、惰性を貪っているにもかかわらず、ものすごいプレッシャーを放たれて――思い出す。

「すみません、ミシェルさん」

つい昨日、「千里ヶ崎じゃなくミシェルと呼ぶように」と〝お言いつけ〟されたのを。





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