千里ヶ崎の魔女と配信される化け物
天窓からの光が眩しいのか、彼女はまたひたいに手の甲を乗せる。

「化け物の定義は横に置いておくとして――もしそんな現象が起きたなら、なぜそんなことになったかが気になりはしない?」

「そりゃ、まあ」

「そう。もしもこれが、何者かの仕掛けたことなら。あるいは、化け物自身に目的があるのなら。それはだれで、それはなにか。――想像の幅の広がりは、加速するでしょう」

「あの、仕掛けたって……それじゃあもう、ホラーからミステリーですよ。しかもファンタジー要素込みだし」

「ジャンルをまたにかけるぐらい、どうってこともないでしょう?」

それは、どうだろう。たしかに、ミックスされたストーリーもおもしろいけれど……純粋なジャンルのものが秀逸だ、っていう意見もある。一概には言いにくい。その逆もしかりだ。

「さて、ケータイが化け物で、それが何者かの仕掛けたものならば、その目的が気になるというもの」

「いったいどこの悪党がそんなことするんですか」

「悪党と決めつけるのはどうかな。もしかしたら、パンドラの箱を開けてしまった、無知で無邪気で穢れのない子供かもわからないのだよ?」

「じゃあ、その子供はどうなったんですか」
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