時の雫 白銀の瞳
『悪かったな… 助けに来るのが遅くなって。』



え???

『ジャ、ジャ、ジャ…』


た、確かに私のジャスミンなのに…

喋ってる!?


『あ、あの…ジャスミン???』


びっくりし過ぎて、涙も一気に渇いてしまった。


『説明している暇はない。美琴…先を急ぐから、私の背中に乗ってくれ。』

そう言い放つと、ジャスミンの体はまた一気に大きくなる。


乗れって言ったって…

あまりに驚き過ぎて、体が動かないんですけど!!


『いや、あの…―――きゃぁぁぁ!!』


まるで子猫をくわえるように、ジャスミンは私の体を甘噛みすると、力強く走り始めた。


何がなんだかわからない状態のまま、回りの景色は次々と姿を変えていく。


暫く走ると、一気にあたりが明るく開けた。

ジャスミンはスピードを弱め、ゆっくりと歩き始める。


先程と違い、どこまでも平らな草原。空と大地が、繋がっているみたいに。

所々咲く花たちが、そよそよと揺れ、辺り一面になんとも言えない香りを漂わせていた。


『いい香り…』

その香りに酔いしれ、この状況にも馴れてきた私を、ジャスミンはそっと花の絨毯の上に下ろすと、顎をくいっと上げ、私の視線を指示する。


『美琴…。そこにある服を着てくれ。』


え?パジャマ??

見覚えのある自分のパジャマに、きょとんとしてしまう。

『パジャマを着るの??』

不思議に思い、ジャスミンに問いかける。


『……気づいてないのか?我々は毛を纏っているが、人間というものは、それを着るのだろう?』


怪訝そうに説明し始めたジャスミンの言葉で、私は自分の体を凝視する。


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