時の雫 白銀の瞳
そういえば私、シャワールームを出たとこで倒れて……


『いやぁぁぁ!裸ぁぁぁ!!!』


あわれもない姿に、奇声を発して座り込む。

ジャスミンの瞳孔は一気に大きくなり、驚いた様子であたふたとしている。

『み、美琴、落ち着け…』

『落ち着けって、落ち着いてなんていられないよ!ジャスミン、見ないで!!!』


慌ててパジャマを手に取ると、少しでも隠そうと胸元へ丸めた。

パジャマだけ…下着も何もないじゃん!!


『見ないでと言われても、あっちの世界では毎日見ていたが…。』


そ、そうかもしれないけど…

一応、ジャスミンは男…いや、オス?なわけだし。


『とにかく、それを着てくれ。落ち着いて私の話を聞けるように。美琴が望む姿に戻ろう。…』


そそくさとパジャマを着る私の横で背をむけながら、いつもの大きさへ戻るジャスミン。


『落ち着いたか?』

…変な感じ。姿形はいつものジャスミンなのに、喋ってるし、それに…

瞳がオッドアイだ。

右目はゴールドなのに、左目は燃えるようなレッド。

確かジャスミンって、両方ともブルーだった気が…

『あ、あのジャスミン?なんでこうなってるの?』

本当は夢だと言って欲しい期待を込めて、問い掛ける。


『あぁ、どこから話せばいいのか…』

さわさわと優しく草花を揺らす風が、ジャスミンの黒い長毛 を一層艶やかにし、通り過ぎていく。

そして少しずつ……これが現実だという事を語り始めた。
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