時の雫 白銀の瞳
『美琴、お前の身体は、今ここにある。ただ、今までいたあっちの世界のお前も存在している。どちらかに居る事をお前が選択した時、もう一つの世界のお前はいなかったものとなる。私も同じだ。』
淡々と話すジャスミンの話を、理解できずにいた。
あっちの世界??
…って、こっちって???
『それから、ここは……』
理解出来ずにいる私を差し置いて、話を続けようとするジャスミンにストップをかけようと、いつものようにその体を持ち上げる。
『なっ!何をするんだ!!』
小さな体をバタバタとさせ、どうにか私の腕の中から逃れようとするのを、更に強く抱きしめる。
『待ってよ!何言ってるのか全然わかんないよ!』
半泣き状態でいる私に気づくと、ジャスミンは静かに言った。
『…悪かった。』
緩めた腕からするりと抜け出して、見馴れた姿を大きくすると、その暖かい羽毛の様な中に私を包み込む。
『まず、私の話から始めようか?こちらでの名前は“ジャスティス”代々王家に仕える聖獣だ。王の血筋を護り、命を捧げる―。』
その暖かさに、泣きだしそうな気持ちは強くなる。
次第に安心感と安堵感の気持ち良さが襲い、ジャスミンに身を預け、顔を埋めるようにして話を聞けるようになった。