時の雫 白銀の瞳
『あぁ…他の何がきっかけでこちらの世界にきたのかわからない者とは違う、明確な理由だ。ただ…』
そこまで言いかけて、ジャスミンは急に立ち上がると、全身の毛を逆立てる。
『ちょっと…!ただなんなの?』
肝心なとこにきて止められたので、多少苛立ちを隠せない様子でジャスミンに詰め寄る。
『…美琴。私の後ろへ…』
張り詰めた空気とジャスミンの緊張感で、私は全身が痛くなり、一瞬で身動きがとれなくなった。
何?
嫌な空気…
『ジャスミン…?』
怖くなって、私が問い掛けたのが先か、どこからともなく、風を切り裂くように放たれた閃光が先か…
声も出せないままでいる私に、段々と近づく閃光。
地面をえぐるように、こちらに向かってくる閃光を見て、確実に危険だという事だけは悟っていた。
閃光は目の前まで迫るーーー
瞬間…バッチーーン!!!
もの凄い轟音と共に、先程まで一直線に向かってきていた閃光は、私たちの一歩手前で矢のように四方八方へと弾けた。
『流石…王家に仕える聖獣。』
風にのって、やけに高く厭らしい声が届いた。
ジャスミンの瞳は更に赤く燃え上がり、地面を揺らす程の低い唸り声を漏らしていた。