時の雫 白銀の瞳
今の何?!
びっくりし過ぎて口が開いたまま塞がらない。
まるでゲームや漫画の世界が、そのまんま私の目の前で起こっているようで…
辺りはまだ先程の閃光の傷跡が生々しく残り、煙幕が足元に這っている。
『何の用だ?』
長い尻尾の中に私を庇うようにしながら、重々しい空気の中、ジャスミンが緊張を破った。
『クックッ、その娘を渡していただこうか。』
そう言いながら、月明かりに照らされて姿を見せたモノに、私は悪寒が走るのを感じた。
首から上は人間の顔をしているが、身体には真っ黒な毛が生い茂り、大きな羽が生えた奇妙な生き物。
ギラギラと鋭く光る吊り上がった目が、私を確認すると、ぐにゃり…と曲がり、笑みを浮かべた。
ぞっとして、顔を逸らしてしまう。
気持ち悪い!!
烏に人間の頭がくっついているような姿…
でも烏とはまた違う、異様な雰囲気…
『お前ごとき、私に敵うとでも思っているのか?』
不敵な笑みを浮かべるジャスミンの声が、自信満々に響き渡る。
ジャスミンって、そんなに強いの?
だって家にいたジャスミンって、日向ぼっこして寝ていたり、こたつに丸まってたり…
思い返してみたら、寝てる姿しか見当たらなくて…
いつも寝てた…?
いや、猫だから当たり前なんだけど、なぜか心の中にひっかかるものがあった。
あれ?
ジャスミンって、いつから一緒にいた?
私がこの世界にきたのって、眠りに落ちた時だよね?
ジャスミンも?寝てた時、こっちにきてた?