時の雫 白銀の瞳
~曖昧~
ぽたっ…ぽたっ…
定期的に聞こえてくる音と、寒さで意識がぼんやりと戻ってくる。
ざりざり…
ざらざらとした感触が、手に感じ、少しずつ目を開けた。
…あぁ、ジャスミンかぁ…
『!!!って!、ジャスミン!?』
勢いをつけて身体を起こして廻りを見渡すけど、いつもの自分の家の洗面所。
違うのは、下着も着けずにパジャマを着ているって事だけ。
『げ、現実??』
先程の感覚のまま、ジャスミンに問い掛ける。
『ニャーン。』
でもジャスミンもいつものようにゴロゴロと言いながら、私に絡み付いてくるだけ。
『ちょっと!ジャスミン!喋れるんでしょ?』
傍から見たら、異常者だよね…猫に喋れなんて…
でも……
さっきのが、夢だとは思えない。
あの嫌な目線と緊張感が、まだ身体に残ってる。
一体、私どうしちゃったんだろう。
カチャ…
ふいに聞こえてきた物音にビックリして、ジャスミンを慌てて抱きあげる。
どうやら玄関の鍵を開けて、誰かが家の中に入ってきたようだ。
近付く足音に、何故かビクビクしてしまう。
普段なら日常の常識音で、気にも止めなかったのに。