時の雫 白銀の瞳
『…それより、ジャスミン、 あっちでの名前はジャスティスって言ってたよね?出会ったのが数日前なら、なんで私に本当の名前を伝えなかったの?』

押し込めた言葉が出てこないように、違う質問を吐き出した。

不意に全く違う方向からの私の質問に、驚いた様子で目を真ん丸にさせると、私から離れて窓際に座り直したジャスミンは、何故か照れ臭そうなそぶりを見せる。

『?なに?』

『は…発音がわからなかったんだ。きちんと練習してきたつもりが、擦れて伝わってしまったようで…。すまなかった。』

いや、謝られても…。

『ジャスミンでいい?その方が可愛いし。』


更に目を真ん丸くさせると、ぷいっと窓の外に視線をずらしてしまう。

『……好きにしてくれ。』


流れてた涙が止まっちゃうくらい、なんだか可愛くて、普通の猫に接するみたいにジャスミンの頭をなでなでした。

『!!止めてくれ!』


素っ頓狂な声をだして振り返ったジャスミンに、私は微笑みながら言った。


『…すぐ帰ってくるから。ちょっと待っててね。』

立ち上がると、ドアノブに手をかける。

きちんと…。きちんと話をしなきゃ。

また戻るかもしれないけど、何日もいなくなれば不信には思うだろうから…。

深く空気を吸い込むと、ゆっくり吐き出して扉を開ける。


『頑張ってこい…。』

ジャスミンの声が、後ろで小さく聞こえた。


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