時の雫 白銀の瞳
―――最近、本気で笑ったのっていつだっけ?




進藤 美琴 26歳

ごく普通に学校を大学まで卒業して、普通の会社でOLして、恋愛して結婚して…

当たり前過ぎる時間を歩いてきた。

仕事は楽しいし、仲間にも恵まれている。


でも今あるのは空虚感と喪失感だけ。

何をしていても、足が地面についてない感じだし、友達と大笑いしていても、冷ややかにそんな私を見ている、もぅ一人の私がいる。


…そぅ、あの時、あの日から…

結婚して2年目、何もかもが順調で怖いくらいだった。

毎日帰ってくるあなたを待つのも、ただ嬉しくて…

でもね、あの日のあなたの一言が、私に拒絶を与えた。


『なんでだよっ』

子供ができない身体と告げられた直後、あなたの口から発っせられた言葉。

泣きながら言うあなたに、悲しみも怒りも沸かなかった。


どうしろというの?


望んでいたのは、あなただけなの?


私だって、会いたかったのに…


二人だけでも、幸せに生きて行こうねって、言って欲しかったの………



そこから、感情がどうやって出していいかわからなくなって、〔私〕を演じる毎日になってしまった。

なんだろぅな…

疲れもしなければ、何にも感じない。先の事も考えられないんだよね。
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