時の雫 白銀の瞳
『―――…こと!美琴!!』


誰かか私を呼んでる………。

あれ、私何してたんだっけ?

会社が休みで、もう一回寝て…

ぐぅたらするつもりで………


『美琴!!起きてくれ!!』


もぅ…

気怠さで顔を歪ませながら、うっすら目を開ける。


あぁ…ジャスミンかぁ……


って!!!!!

急に上体を起こしたもんだから、頭がくらくらする。

『ここは!?』


貧血状態の頭で混乱しながらも、状況に慣れようと辺りを見回す。

『エルドラ中部。ソーカスの街だ。』


着いたんだ…。

日本には絶対ない色とりどりの石畳が並び、住居だろうか、煉瓦作りのような建物が見下ろすと幾件もそびえている。

小高い丘の上、草花な揺れる場所に私はいた。


街の中心部には、何やら他の建物とは違う天に向かって伸びる建物。


四方を囲むようにして高い木々が並んでいるが、またそれも目にした事のないような木々で、自ら光を放っているように神秘的に揺れている。

本当に…、ゲームや漫画の中みたいだ…。

物珍しくキョロキョロしてしまう。


『美琴、街へ下りよう。』

浮かれてたらいけないんだ…。

観光に来たわけじゃないんだから。

重たい荷物を抱えると、私は腰を上げた。

『うん。って、どこに行くの?』

ジャスミンの瞳が赤く燃え、その体を大きくさせると、私に背中に乗るように促す。


『……勿論、我が国の王のもとに。』


お、王様?!!!!
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