時の雫 白銀の瞳


『王様って…。いきなり会いに行くの?』

肩に食い込む荷物が、何故か先程より重く感じ、手に力を込めた。

いきなりな展開に、私はまたついていけない。

『会わないでどうする?真実は、王本人から聞くと言ったではないか。』


だって……


どんなに小さい国の王様だって、私のような普通の人間が会いに行くって変な話だし…。

国のトップに立つ人が、わざわざ説明するなんて手間を自ら率先するなんて、そもそもおかしな話だ。


『聞きたい。でも…大丈夫なの?』

戸惑いと不安に揺れる私に、痺れを切らしたのか、ジャスミンは大きな溜息をつきながら一人で歩き出す。


『ちょ、ちょっと!置いてかないでよ!』

私は慌てて重い鞄を持ち直すと、引きずるようにして後を追いかけた。

直ぐに息が切れて、足が重くなり始める。

ジャスミンはお構いなしで先を歩いて行ってしまう。

泣きそうになりながら、必死に後に続くけど、日本の公園のように歩道なんかの整備はされてないし、私の足は縺れていくばかりだ。

『ジャスミン!!』


最後の力とも言える声を出して叫んだ瞬間、ジャスミンは動きを止め振り返ると、長い距離を身軽に跳んで私のすぐ正面に座り込み、また大きな溜息をつく。


『…ぐだぐだと言っていても仕方がない。王がお待ちだ、早急に向かいたい…美琴、何かが起こったら、その時考えろ。』

半泣き状態の私を優しく噛むと、自分の背中に乗せてジャスミンは風をきった。
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