時の雫 白銀の瞳
門の先には城を囲むように長い回廊が続き、その回りには美しい花々が咲く庭園が何処までも広がっていた。

外から見た感じでは、中は余り広くないように思えたが、門から城までの距離は意外と長い。


私はジャスミンの背中から降りると、落ち着きのない様子でソワソワしてしまう。

『ジャスミン…、大丈夫なの?』


『あぁ、城の中心部で王はお待ちだ。おっと…その前に、私の兄弟達を紹介しておこう。』

ジャスミンの視線の先、城の前から、幾つかの影がこちらに向かってくるのがわかる。

『兄弟???』

影が近くなり、私は固まってしまった。

ジャスミンが…もぅ二匹?!

いや、違う。よく見ると二匹ともジャスミンよりは一回り小さく、その内一匹は短毛だ。

また、体を覆う毛の色もグレーで、猫に例えるならロシアンブルーと言ったところだろうか、スラリとした体がとても綺麗で気品を漂わせていた。


『紹介しよう。我が兄弟…、ミスティとジャッジだ。』

軽く会釈し、私の目の前まで来て伏せると、ジャスミンによく似た一匹が話し掛けてきた。

『お話はジャスミンから…。私はジャッジ。王家、第二親族に仕える聖獣です。おみしりおきを。』


ジャッジは真っ黒な長毛に長い尾を持ち、姿はジャスミンに酷似しているが、瞳の色は対照的にブルーだった。

ジャッジが一歩下がると同時に、ミスティが今度は私に歩み寄る。

『はじめまして。私はミスティ。同じく王家第二親族に仕える聖獣です。』

透き通るような声と光り輝くゴールドの瞳に、思わず見とれてしまった。

なんて綺麗なんだろう。

三匹が並ぶと、神々しい程に絵になる光景だ。
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