時の雫 白銀の瞳
怒ってる……。
おどおどと後に続きながら、私はジャスミンの顔色を伺っていた。
あれから私達は王様の側近に指示され、これから住居となるであろう場所に向かっていた。
広い中庭には木々や草花達が風にそよぎ、箇所箇所に備えられた噴水では様々な鳥達が囀っている。
多分、普通の状態でこの場所を目にすれば、感動にうちひしがれていたに違いない。
だけど今は…
重たい空気がどんよりと回りに漂い、最悪の状況…
怒るよね…。王様に悪態ついちゃったんだし…。
回りの人達の反応も凄かったし…。
『あ、あの…、ジャスミン……、ごめんなさい。』
いつまでもこのままだと気まずいし、なんにせよ緊迫した雰囲気に耐えられなくなってしまい、泣きそうになりながら話し掛けてみる。
一番大きな噴水の前で足を止めると、やっとジャスミンは私に目線を落とした。
『……いや、いい。気にするな…。』
嘘!!声が怒ってるよ!!
明らかにわかるる口調で答えられて、若干苛ついて顔をあげると、何故か綻んでるジャスミンの顔に驚いてしまった。
怒ってる表情にはとても見えない。
『……ジャスミン??』
ふいっとまた私から視線を外すと、ジャスミンはスタスタと歩き出す。
『……有り難かった。礼を言わせてもらう。王が気を収めてくれたのも、お前のおかげだ。あのままだと私以外にも怒りは飛び火し、手のつけようがなかっただろうから…。』
え?ちょっと待って…
私…そんな人と話をするの??