時の雫 白銀の瞳
不安と恐怖が襲い、その場に立ちすくんだ。

考えてみたら、理由も聞かずにジャスミンを怒るのも意味わからないし、すぐに罰を与えるやら言い出すのも変だ…。

私…とんでもない人に喧嘩うっちゃったの???

いや…冷静に考えたら、王様に盾突く事自体が狂ってるとしか思えないんだけど……。

『美琴?どうした?』

急に立ち止まった私に振り返って、ジャスミンが心配そうに顔を覗きこんだ。

『ジャスミン…。王様って……、怖い人なの?』

パニック状態の私の口からでたのは、あまりにも幼稚な質問。

それに、緊張で口が渇いてしまって、上手く言葉が出てこない。

『怖い?……はぁ……』

重々しいため息をつくと、呆れたように首を振り、ジャスミンは私の前に座りこんだ。

『…王様は…カミア王は、若干20歳にしてこの大陸を納められている。仕える者は500万を超え、この世界の三分の二は彼の領土だ。意に反しても、皆の恐怖でなければやっていけない。この私でさえ、10を超えた王の笑顔は見た事がない。』

『……そんな人が、私とまともに話せるの?』

どう考えたっておかしな話だ。
私は、一般人でしかないし…しかも違う世界からきた得体の知れない人物なのに…。

………私がここにいる意味は何??


『ジャスミン…、』

『美琴、王の口から聞くんだ。真実を…お前がこの世界に招かれた意味を。』

私の言葉を遮るようにして、ジャスミンは立ち上がり視線を合わせた。

まるで、私が考えている事がわかっているかのように…

全てを見透かされているようで怖くなり、ジャスミンから視線を反らした。
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