時の雫 白銀の瞳



―――そんな国、いつか崩れ落ちるわ!!!


苛立ちよりも、あまりの真実と現実に、目の前が霞む程だった。

今まで避けてきたものを、いきなり突き付けられた衝撃は想像以上で…。


『………っ、笑えるな…。』

苦笑いを浮かばせながら、カミアは自らの口元を手で覆った。
堪えねば、何故か涙がこぼれてきそうで。込み上げてくる感情を抑えるのに必死だった。


『情けない…』

気を取り直すと、ゆっくりと歩き始める。

時折、負の感情に支配されそうになりながら、重い足を何とか持ち上げた。

いつもより倍以上長く感じる部屋への廊下が、やっと終わりを告げ始めた時には、すっかり元の自分に戻り、平静を保つ事ができていた。


『あの娘…、真実を受け入れる事ができるか…。』


重い甲冑を脱ぎ捨て、荒々しく椅子に腰掛けると、古い書物を片手に空を見上げる。

まだ日は高く、雲一つない空は青く澄み切っていた。


真実を告げるその時まで、何も考えないように…と、カミアは瞳を閉じた。
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