時の雫 白銀の瞳
~真実~
何が起きたの?
今、なんて言った?
――王族を護り、救う子を宿す???
子供……
空回りしていたカミアの言葉をやっと理解した瞬間、とてつもない虚無感と絶望感が私を襲った。
『……いや…やだ……、いやぁぁぁぁぁぁ!!!』
自分の感情に支配されて、抑える事すらできず、私はその場に疼くまりながら叫んだ。
『なっ、どうしたのだ!?』
急に取り乱した私に驚いて、カミアが近寄ってくる。
―なんでだよっ!子供ができないなんて!
フラッシュバックするように…その姿が現実の世界と、夫と重なってしまって、私はガタガタと震えながら叫び続けた。
嫌だっ!……怖い!!!
『いや!!近付かないで!!いやぁぁぁぁ。』
何も考えられなかった。
ただただ恐怖と嫌悪感が私を蝕み、涙が止まらない。
苦しい…
誰か…助けて…
『美琴!!』
泣き叫んで酸欠状態になり始め、視界もぼやけてよく見えない。
後方から微かに私を呼ぶ慣れ親しんだ声を聞いた気がした。
……ジャスミン?
大きな体が私を覆う。
私は思わずしがみついて、その体温を確かめるかのように顔を埋めた。
ジャスミンの瞳は真っ直ぐにカミアを見つめ、威圧感さえ感じられる。
『ジャスミン…た、助けて…』
自分ではどうにもならず、一言だけ救いを求めるように声を絞り出すと、私の意識はぷつりと切れてしまった―――。