時の雫 白銀の瞳
私はいつまで苦しむの?
いつまでも、どこまでもついてくる…
半ば逃げ出したい気持ちで、向こうの世界を離れる決意をしたのに…
遠退く意識の中、自分がこのまま消えて失くなりそうになってしまい、怖くて思わず拳を握りしめた。
自分の爪が食い込む痛み。
意識が戻りそうで戻らない、現実と夢の狭間を漂っている。
その時だった、微かに誰かの声が耳に飛び込んでくる。
『………けない。決して、王の子などつくらせてはいけない。あの娘を消すのだ……』
夢か現実かはっきりとしない中、いつもより何倍も重く感じる瞼を持ち上げた。
二つのぼんやりとした影が、薄い布越しに見える。
『……わかっております。必ずや、あの娘の骸を貴方様に差し上げます故…。』
人?誰なの?
自由のきかない自らの体を起こそうと、両腕に力を込める。
瞬間――――
!!!!!
ドスン!!!
体制が崩れ、私は床に転げ落ちた。
え??現実???
『!!!誰だっ!』
二つの影の片方が、慌てた様子で近付いてくる。
――いやだっ、怖い!
逃げようと足に力を入れるけど、恐怖でなのか全く言う事を聞いてくれない。
一気に近付いてきた影が、私の目の前まで迫る。