時の雫 白銀の瞳
『…カミア王から、何を聞かされた?』


…ドクンッ


『な、何…をって……』


『お前が…、この世界に何故来る事になったのかを、カミア王はお話にならなかったのか?』



…ドクンッ……

異様なまでの激しさで脈打つ心臓に、自分の身体自体が揺れているんではないかと思うくらいだった。


『はぁっ、はぁ…』

荒く短くなる呼吸に、胸の痛みが増してくる。

『美琴?』

心配そうにジャスミンが私を覗きこむ。


――しっかり…しっかりしなきゃ……!

なんとか平静を保とうと、自分の胸ぐらを両手で強く握ると、深く酸素を吸い込んだ。

なんてことはない、特別な事を言われたわけではないんだ…

ただ、自分がこの世界にとって‘いなくてはいけない存在…いや、器なんだ’と言われただけ―――。
< 52 / 56 >

この作品をシェア

pagetop