時の雫 白銀の瞳
深く酸素を吸い込み、一気に吐き出す。

冷たい空気が急激に血液中に行き渡り、自分の感情にまで浸透して、込み上げてきたものを冷却していった。

『うん…。王様から聞かされたよ。………でも、なぜ??……………なんで私なの?』

本当に疑問だった。

違う世界の住人で、ましてや何の取り柄もない平凡な人生を歩んできた私に、何かできる力があるなんて考えられない。

宝くじのようなものなんだろうか…。

『美琴、お前が選ばれた理由は私も聞かされてはいない。何をするか、為すべきなのかだけ伝えられた。』

『そんな……、理由がなくてできる内容じゃないよ!!』

ジャスミンの回答に、思わず声を張り上げてしまう。

『………時がきたら、きっとカミア王はお話になるだろう。それまで…』

『無理だよっ!!!そ、そんな……っ』

わけのわからない状況で、わけのわからない場所と理由で、あんな役目…。
一度は冷めかけていた感情が溢れだし、またボロボロと泣いてしまう。

『美琴……。私がいくら問い詰めたところで、カミア王はお話にはならないだろう。辛いだろうが、お前から王に歩みよるしかない…。』


歩みよる?
仲良くしろって事?
あんな暴君に?

『む、無理だよ…、だ、だって……』

嗚咽まじりで答えるのを遮るように、ジャスミンが私の体を優しく包みこんだ。

『何があっても、私が護ってやる。………ただし、美琴、これだけは忘れるな――――王族は味方ばかりではない。しいて言うなら………』
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