時の雫 白銀の瞳
『しいて言うならなんだ?』

急にわって入った声に、ビクッと体か反応した。
振り返ると、カミア王が冷たい視線を送っている。

『……いえ。こちらの話しです。………美琴は大分落ち着いたので、王と話したいそうですが…。』

って、えぇ~!?

ちょっと!一言も言ってないよ!

心では泣き叫んでいるのに、唇を動かすだけで声が出てこない。

『そうか。ジャスティス、席を外してくれ。』

ちょっ、ちょっと待ってよ!

『ジャス…』

すがる思いでジャスミンに抱き着こうとするも、ヒラリと体をかわして立ち上がったジャスミンは、そのまま私に背をむける。

『御意。』

そう一言残すと、ジャスミンは扉の向こうに消えてしまった。

『あ…、いや…。その…』

なんて言っていいのかわからず、私は置いていかれたままの格好のまま、情けなく座りこんでいた。

相変わらず表情ひとつ変えず、冷たい空気を周囲に放ったまま、カミア王は部屋の真ん中にあるソファにドカッと勢いよく腰掛けた。

『美琴、先程はすまなかった。急な話しで驚いただろう?』

緊迫する空気の中、カミア王が口を開いた。

あれ…?この人、他人を心配する事できるんだ…
少し前に話しをした人物とは違った雰囲気に、私の体の力も抜けていく。

『いえ。大丈夫です。驚きはしました…。ただ、勝手に部屋を飛び出したりしてすみません…。』

そう言って立ち上がろうとした瞬間、自分の足に力が入らない事に気づき、体制を整えようとしたけれど遅かった。

『わっ…!』

あぁ、転ぶ!
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