神様のきまぐれ
「コウジさん?!」
ドラムの山本さんが、
不思議そうな目で、
私たちをみている。
「日向!オマエ、
ここにいたの?
皆探してるぞ!」
元田さんが、通路奥から
様子を見に来る。
「すまん。」
「おーっ?!スゲエ!
ヒナコ、ベース
かついでんの?!」
脇に立つ自分に、
元田さんが声をかけてくれる。
「はい。運び屋です。」
言って、ニッコリ
笑んでみせた。
日向さんの
優しさに触れた私の体からは、
自然と幸せな声色の
言葉が発せられる。
「いいじゃん♪
それも撮ってやるよ。
日向!オマエも入れ!」
「はあっ?!」
ゴキゲンな元田さんに、
突然振られ、
日向さんが照れる。
レンズは、こちらに向けて
シャッターチャンスを
待っている。
「日向!早くっ!」
「今時、ポラロイド?!
ゲン、気に入ったんだろ?
それ。」
照れて話題をそらす
日向さんに、元田さんが
しびれをきらせた。
「だーっ!!もー!!」
「わーったよ。」
日向さんは、渋々って感じで、
ベースを担いだままの私を、
背中から抱きしめた。
三分後、
日向さんの腕に抱かれ、
真っ赤になって驚く私と、
照れてた割に、様になって
写ってる日向さんが現れた。