神様のきまぐれ
 
「コウジさん?!」

ドラムの山本さんが、
不思議そうな目で、
私たちをみている。

「日向!オマエ、
ここにいたの?
皆探してるぞ!」

元田さんが、通路奥から
様子を見に来る。

「すまん。」

「おーっ?!スゲエ!
ヒナコ、ベース
かついでんの?!」

脇に立つ自分に、
元田さんが声をかけてくれる。

「はい。運び屋です。」

言って、ニッコリ
笑んでみせた。

日向さんの
優しさに触れた私の体からは、
自然と幸せな声色の
言葉が発せられる。

「いいじゃん♪
それも撮ってやるよ。
日向!オマエも入れ!」

「はあっ?!」

ゴキゲンな元田さんに、
突然振られ、
日向さんが照れる。

レンズは、こちらに向けて
シャッターチャンスを
待っている。

「日向!早くっ!」

「今時、ポラロイド?!
ゲン、気に入ったんだろ?
それ。」

照れて話題をそらす
日向さんに、元田さんが
しびれをきらせた。

「だーっ!!もー!!」

「わーったよ。」

日向さんは、渋々って感じで、
ベースを担いだままの私を、
背中から抱きしめた。

三分後、
日向さんの腕に抱かれ、
真っ赤になって驚く私と、
照れてた割に、様になって
写ってる日向さんが現れた。


 
< 103 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop