神様のきまぐれ
できあがったポラを見て、
満足そうな元田さん。
「兄妹みたいだな。」
山本さんが、横から写真を
のぞいて笑んだ。
日向さんは、興味がない風に
私の体からベースをはずして、
スタンドに立てている。
「日向どーしたの?
オマエ、楽器、
人に触らせるの嫌いだろ?」
元田さんは、からかう様に、
日向さんに視線をやり言って。
「持てなかったんだ。」
視線を逸らしたままの
日向さんの答えに、
へえー、って、いいながら、
口元に含み笑いを
浮かべていた。
「うるせーな!オマエは。
俺を探しに来たんだろっ!」
日向さんが、元田さんの上腕を
拳で軽く叩く。
二人はジャレあいながら、
メイク室に消えていった。
残された私に
山本さんが教えてくれる。
「あれ、本当なんだよ。
ヒナコ。
あの人、ライブ前は、
絶対楽器触らせないんだ。
・・・人のは
触るんだけどな。」
「それって・・・
どうなんでしょうねえ。」
笑み答えた。
普通に接してくれた事が、
嬉しかった。
わだかまりを残して
終わるのは嫌だったから。