神様のきまぐれ
「やっぱり都会って、
向いてないみたい。
私、ボーっと
してるから・・・」

「なに、それ?」

思わず、ヒナコの言葉に
笑ってしまう。

彼女も、俺を見て
ニコニコ笑んでいた。

そうだな。

出会った時も、
天然だと思ったな。
フワフワしたイメージで。

ちょっと、コメントが
ズレたりしてた。

思い出して懐かしむ。

「ねえ。日向さんは、
絶対、知らなかったと
思うけど。

私、日向さんのコト、
駅前の喫茶店から
結構何度も見かけていたの。」

思わぬヒナコの暴露に
驚く。

「サテン?あったっけ?」

「うん・・・。

電車からみえてて、
なんかカフェとは言えない位、
レトロな雰囲気で。

私、途中下車して
通ってたの。」

もちろん、時間のあるとき
・・・だけですよって、
ヒナコは笑む。


「ふーん。
俺がミュージシャンだってのは
知ってたんだ?」

やっぱ、知ってたのか?
知らなさそうだったけど。
芝居だったのか?

「それが・・。
残念ながら、しらなかった。
何してる人かも。

いつもベースをもってるから、
バンドでもやってるんだなって
思ってた。」

・・・素人と
思われてた訳だ。

さすがに
苦笑してしまう。


 
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