神様のきまぐれ
車独特の匂いが、
鼻をつく。

「ヨイショ・・。」

後部シートに荷物と一緒に、
投げ入れられたらしく、
勢いでシートに転がる。

もう、起きる気力もない。

気持ち悪い・・・。

もう少し、
丁寧に扱ってくれ。

追い撃ちで、バンッと、
車体が揺れる。

扉を閉めた振動・・・。

自業自得とはいえ、響く。
やめてくれ。


「お?来たな。」

「すいません。
迷惑かけちゃいます。」

元田の声と、
すっかり耳に馴染みだした
ヒナコの声がする。

ヒナコの事だから、
多分、また、
にこやかな笑みを
浮かべてるんだろう。

「あれ?日向さんは?」

「後ろ。
日向、吐かねーからな。
ここまで酔うと
大変なんだよね。
心臓バクバクするし、
食欲ないしね。
ヒナコ、コイツの搬入
手伝ってね。」


頭は、割れる程痛むけれども、
眠れる訳もなくて、
視覚意外の感覚で、
状況を把握する。

「えーっと、鍵、鍵・・・。」

元田が鼻歌混じりに、
俺のジーンズのポケットを
探してまわる。

何度もあることとは言え、
全く、手慣れている。

シャッターが
閉まる音がした。



 
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