神様のきまぐれ
「日向。おきてる?」

元田が俺を肩に担ぐ。

「ああ。ヒナコは?」

目が開かなくて、
足が縺れる。

「一緒にいるよ。
つか、オマエ、
ちゃんと歩けって!」

今度はベッドに投げられる。

「痛い・・。
元、扱い悪ぃな。
ヒナコは?」

熱に浮かされたみたいに、
途切れ途切れの意識のなか、
あいつの名前が口をつく。

「ここに居ますよ?」

って、汗を拭ってくれながら、
彼女は言う。

「ヒナコ・・
途中で帰るなよ。」

睡魔と戦いながらも、
帰したくなくて、
彼女の手をつなぐ。

「日向さん・・子供みたい。」

ヒナコのクスクス
笑う声がして。

再び安心して、
眠りについた。



 
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