神様のきまぐれ
目覚めてすぐ、
繋いだ手の
温もりに気付く。

その手は、
ベッドにもたれて眠る
ヒナコのもので。

自分が望んだ
温もりだった。

ヒナコを抱き上げて、
ベッドに横たえる。

彼女も寝てないはずだから。

こうして、
一緒にいてくれた事に、
感謝してる。


だけど・・・


俺は、自分の気持ちを
言葉で伝える事が
できなかった。


好きだとか・・・


一緒にいたいとか・・・


いろいろ言いようは、
あっただろうが。


これまでの自分がーーー


誰かの愛情を得る事に、
執着していた気がして。


ヒナコのようにーーーー


無条件に与えてくれたモノと
違うような気がして。


打算まじりな
感情だった気持ちにすら
なってしまって。



言葉を選んでるうちに

彼女は別れの挨拶を残して、

扉をしめていった。



『いろいろ
お世話になりました。
さようなら。』

そういって。


キラキラした瞳が
印象的だった。

もしかしたら、

あれは・・・

涙だったのかも・・・

しれない。



 
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