神様のきまぐれ
日向さんが、
なにか、言葉を
探していたことにも
気付いたけれど・・・。
気付かない振りをして、
会釈し、玄関にいった。
『ヒナコ。』
『はい?』
『いつ、帰るの?』
『チケットとれたら、
一旦、すぐに帰るつもりです。』
座ってサンダルのストラップを
とめながら、そう返事してると
何故だか涙が溢れてきた。
履き終わり立ち上がる。
振り返り
改めて日向さんをみつめる。
そのとき、初めて
私は
この人の事が
好きなんだと・・
実感した。
こんなに近くにいるのに
遠い人・・・。
『いろいろ
お世話になりました。
さようなら。』
涙がこぼれないうちに、
一生懸命それだけ言って、
玄関の扉をしめた。
歩きだすと同時に、
涙がこぼれた。