神様のきまぐれ
軽トラの荷台に乗り、
真っ青にぬけた空をあおぐ。
真っ青な
空と海の境界が
同化する。
祖父の運転にゆられ、
港へついてきた。
「ヒナ、暑いだろ?」
おじいちゃんが
白い歯を覗かせて笑う。
「うん。暑いね。」
「東京は涼しいか?」
「ん?どーかな。
私はこっちの気候も
好きだよ。」
コンテナに入った荷物を
つみこみながら話す。
父の仕事の都合で、
高校から東京の学校に
転校した。
両親は再びここにもどったけど
自分だけが東京に残って、
卒業して勤めていた。
高校までは、
ここで暮らしていたから、
当然住みよいと思う。
ふと、海のほうを見ると、
何かみえた。
「おじいちゃん、
あれなあに?
イルカかなあ?」
「さあ。どうだろうね。」
「おじいちゃん!
あとで、海いこー。」
「んー?ええよ。」
久しぶりなせいか、
祖父も、私をを連れて歩くのが
楽しげに見える。
「これで最後かなあ?」
祖父に尋ねる。
最後の一つの荷物は、
私宛ての宅配便だった。
・・・カルディナの
事務所からだった。
何だろう・・?
夕食後にでも開封しよう。