神様のきまぐれ
ドキドキしながら
荷物を開梱する。
段ボール箱に、
ぎっしりつまった
ポラロイドとVTR・・・。
雑誌に写真集?らしき
ものまで、入っている。
「あなた、スゴイじゃない。」
母親が驚く。
一応、リストラ後、
音楽事務所で
事務兼コーラスのアルバイトで
職をつないだ事は、
話していた。
写真から、
想像より大きなホールで
やっていたと解ったのだろう。
「おや。お人形みたいだね。」
写真に、祖父も
目を細める。
そうやって、両親と祖父と
写真をみていると、珍しく、
弟から電話がかかってきて、
父が応対していた。
弟とも、
何年も顔を合わしてないことを
思い出す。
「ヒナ、タクトが替われって。
でてやって。」
携帯電話を渡された。
「タクト?」
どうしたの?
と、
聞きかけた質問は、
言葉となることはなかった。
『姉ちゃんの写真!
雑誌に載ってたぞ?!
俺、今日、
テツに見せられて・・・
びっくりして・・』
テツって、
タクトの親友の名前・・。
まだ、仲良しなのね。
頭が先に反応したのは、
そっちだった。
何で載ってるの?とか、
そういう事は考えなかった。