神様のきまぐれ
タクトは、
明日こっちに帰るから、
両親に、そう言っといてって、
って、一方的に
電話を切っていった。


そうだったね・・・。

付き合ってるって事に、
最初、なってたよね。


両親が、
明日は家族がそろうねって、
笑ってることも

祖父が、明日、
港へタクトを迎えに行くのを
楽しみにしてるって
話してることも、

遠い意識の向こう側で、
聞こえている。


手にしてる写真集は、
最後の日に、
皆で撮りあったモノで。

最後のページは、
日向さんと自分が、
もたれ合い眠っている
写真が刷られていた。

幸せそうな
表情をして。


手をつないで眠る二人。


ずっとこうしていられたら
・・・なんて。
性懲りもなく
思ってしまう。


日向さんに会いたい・・。


皆にも・・・。

あいたい・・・。


夢の様に感じた時間が、
現実であった事を
認識できるのは。

それは、
皆が時間を裂いて、
一緒にいた記録を
束ねてくれたから。


揺るぎない記憶。


だから、余計に、
会いたくなる。

メンバーに。

スタッフに。


日向さんに。





 
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