神様のきまぐれ

「ヒナコ。朝じゃよ。」

考え事をしながら
寝たのが悪かったか、
寝付けずにいた。

お昼まで、
あと数時間といったところで、
祖父に起こされる。

ガバッと、音がするほどの
早さで、起きあがる。

「ごめんね。じーちゃん。
寝すごした！」

家事に取り掛かる。

「母さんが、掃除に来いって、
言ってたよ。」

お茶を運んであげると、
大学教授だった祖父が、
調べ物をしながら、
思い出したように言って、
鍵を渡してくれる。

私が今、寝食しているのは、
祖父の家だ。

父母の住む実家は、
ここから、数百メートル
歩いたところにある。

久々に帰省するといったら、
部屋がないから、
祖父に泊めてもらってくれと
いわれた。

両親ともに
大学で講義をしており、
不在がちであった事と、
手狭な建物から、
幼少の時期より、
祖父宅で過ごす事が多かった。

こうやって、
掃除に来るくらいしか、
実家にたちよることは
ない。

ゆえに、
自分にとって、
実家は懐かしいどころか、
新鮮な場所だった。


「なにこれ・・？」

変な実験材料を見て
苦笑する。

ちっとも、作業は
捗らない。


「ねえちゃんっ！！」