神様のきまぐれ
瞼を開けた先に
見えたヒトは、
会いたくて
仕方なかったひと。
「ヒナコ・・・。」
「ヒナコ!元気ぃ!?」
はにかんだ笑みを浮かべる
日向さんと、
満面の笑みを浮かべる
元田さんだった。
「何で・・?
ここにいるの?」
驚いた体が、震えた。
日向さんが、
なにかいいかけたけれど、
祖父の言葉が、被さった。
「ヒナコ。酒のアテ、
つくってくれんかな?」
「あ、はい。」
あたまが、
昨日のパニックを
ふたたび呼び起こす。
現状を把握する事だけで、
思考が停止した。
台所に向かったけど、
頭どころか手も動かない。
一体
どういう事なんだろう・・・。
やっぱり
長期オフとはいえ、
あの二人がここにいるなんて、
納得がいかない。
結局、自分は、
何からどうしたらいいのかと、
立ち尽くしたままでいる。
「姉ちゃん。
手伝ってやろうか?」
弟が、ちょっと照れながら、
のれんの隙間から、
顔をのぞかせてくれて。
ほっとして頷いた。